

佐々木:我々労働組合は、歴代の諸先輩方の時代から、社長を中心とした経営陣の皆さんと安定的な労使関係を築いてきました。そのなかで、社長自身、労働組合の存在意義をどのようにお考えですか。
樫尾:会社は、社員みんなの協力で成り立っています。ですから、協調の精神は極めて重要です。その点で、労働組合には大事な役割を果たしていただいていると感じています。
佐々木:ありがとうございます。"労使協調"という言葉もあるように、協調できるというのは、相手の立場を理解する、尊重するということだと思います。
私の労連会長としてのポリシーは、"Face to Face(会って話す)"、"Voice to
Voice(会えなければ電話で話す)"、"Word to
Word(電話でもだめならメールで話す)"。労使という立場の違いはありますが、このポリシーに則り、社長とも数カ月に1回はお話しさせていただいてい
ます。"コミュニケーションは大事!"と言いながら、職場や組合のなかでもこの基本的なことを実践できていない人はたくさんいますから。
樫尾:何のための協調か、と言ったら、すべては社員みんなの成長、そして会社の成長のため。"協調と成長"です。
佐々木:いい言葉ですね、"協調と成長"。08年以降に起こった事業構造改革で は、デバイス事業と凸版印刷との協業、マイクロニクスの事業譲渡、甲府カシオ工場閉鎖など、次から次へと大変なことがありました。社長が一番苦労されたと 思います。そのようななかで、いかにグループとして、組合として団結できるかが重要。厳しい状況のなかで、組合員たちがめげないようにサポートすること も、我々労連の役目だと思います。
樫尾:"協調と成長"はとても大事です。私が今後、労働組合に期待していることもそれに尽きます。
繰り返しになりますが、社員全員が成長すれば、会社も成長します。そのために、私は経営者として、既成概念を破る発想で、常に可能性を追求していきたい
と思っています。なんだってできないことはないのです。だから、営業利益率を3年で倍にするというのも決して不可能ではないんですよ。
皆さんも、自分で限界を決めず、成長し続けてほしいと思います。人間は、あるレベルを自分の限界と捉えてしまう傾向がありますが、そこで止まってはいけ
ません。自分のレベルが業界の水準を超えたときに身に付くノウハウこそ、その人にとっての宝であり財産となるのですから。
佐々木:社長にはいつも勇気づけられ、元気づけられてきました。労使の新春会議 やパネルディスカッションでも、組合員一人ひとりと話をしていただいています。そのような社長の人柄が、カシオグループの社風につながっているのだと思い ます。これからもお元気で、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
